アーカイブ2013.2.10(NO.181)
わが国に忍び寄る
悪魔の轟き
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By SeimeiWada2024.10.29
「円高は悪魔だ」の大合唱が世の中に轟いている。綿密に仕組まれた罠なのか、それともそういう方向にせざるを得ない、やむを得ない方向なのか。疑ってかかる必要がおおいにありそうだ。現在、原子力発電の代替として火力発電のウエートが増加している。その燃料費の増大なども相まって輸入が輸出を超過している状態ではある。しかし全体的には均衡していると見ていい。ということは、貿易収支は、為替に関しては中立であると言い得る。
では円安の大合唱はなになのか、どこかに本音が隠されているはずだと見ていいはずだ。
デフレから脱却するという言葉に連なっていく。
ものの値段が安くなっているのは、生産拠点を人件費の安い国に置いた結果、安い製品を我々は享受出来ている。
一方円安にして輸出業者が活発に生産活動を出来るように後押ししようとする意図がある。それは、食料品その他輸入燃料の高値に結びついていることでもある。
円安方向の意図するところはもっと別のところにあるはずだ。つい最近少しばかり気になることがあった。東京のメガバンクのお偉いさんが、国債購入に関して泣き言を記事にしていたということである。それも国内の新聞ではなく、イギリスの経済紙ファイナンシャルタイムズにおいてである。できるものならもうこれ以上、わが国の国債を引き受けたくないという趣旨の発言であった。ご承知のようにわが国の銀行は政府、財務省の完璧なコントロール化にある。たとえ、どんなに危険になりつつあると解っていても国債を買わざるをえない。現在国債の91%が我が国内で引き受けられている。これを称して、国債の暴落、すなわち国債利払いの高騰はありえないと主張されている。しかし、国債の今後の大量発行で国債の額面価格が暴落しだしたら、それを所有している銀行の経営は壊滅的なダメージを受けることになる。
こういう切羽詰ったところにきているわが国の舵取りは大変難しい局面に差し掛かってきた。尖閣問題では兵器を増強しなければならない。外国勢が売りを浴びせようと待ち構えている状況の下、これ以上の国債を増やすこともままならない。こういう背景の下、日銀は政府に屈服していくことになる。日銀はなんとか抵抗を続けた結果、日銀が引き受けることになる国債を来春までに引き伸ばした。これが抵抗できたせめてものことであった。日銀総裁の白川は、やけ酒にやけ酒をしたい気分であったであろう。とにかく来春には毎月13兆円の短期国債を引き受けることになる。アメリカ版Q3の物まねは着々と進行しだした観がある。
インフレターゲット2%と言ってはいるが、歯止めを自らの内部に装置化しそこねるときハイパーインフレの足音が近づくことになる。
アメリカはようやく事の重大さに気づき、財政の崖問題に象徴されるように、財政赤字を話し合いで縮小できない場合には自動的に支出削減と増税が行われるシステムを構築し始めた。わが国は、デフレ悪者キャンペーンを張りつつ実は財政不足を補うための円の増刷である。従来のわが国の気質である清貧、高潔の道を選ばずに、最強の悪魔であるインフレの女神と接吻しようとしている。
公務員の給与に手を付けざるを得ない状況になってきたことを、正面から見つめる必要がありそうだ。
現在の株式をはじめとする債権市場の高揚感は、サブプライム後のアメリカと似通っていることに注視する必要もありそうだ。
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