アーカイブ2013.3.10(NO.183)
国家が外国企業から
訴えられる時
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By SeimeiWada2024.10.27
ほんのつい先頃、イギリスの格付けがAAAの最上級からAAに格下げされた。日本は、もうとっくにずっと下に位置している。世界三大格付け会社の一つ、ムーディーズによるものであった。
ゴートン・ブラウンの財政バブルの副産物としては、事は重大だ。今年、借金返済に支払わなければならない額はイギリスはGDPの14.7%であるにすぎない。比較の意味で、フランスの19.4%、わが国の60.4%、イタリアの25.3%に比べて全然いい値に見える。本質はもっと構造的なところにあるのかもしれない。わが国がAAAから陥落したときには、2.5兆ドルの海外資産があった。アメリカの場合には潤沢な準備金があり、将来に展望があった。だがイギリスは国の方向付けを金融国家として絞り込んできた。いまさら製造業を復活させようとしてもないものねだりだ。環境という名の下に発展途上国から炭素税という名目で搾取する試みも不発に終わった。これも結果的にはないものねだりであったに過ぎない。せめての救いは北海油田でのエネルギー革命を引き出せるのか。だが、アメリカのシェール革命に匹敵する可能性は少ない。
話は変わってわが国の成長戦略をないがしろにして金融政策の小手先に走る時、わが国を待ち構えている崩壊のシナリオは、もうじきである。デフレの退治という名の下に金融緩和を推し進めた結果、円はとめどもなく下落を続ける。円は売りに売り浴びせられ、その結果輸入物価はとてつもなく高騰しだす。わが国は食糧やエネルギーの大方を輸入に頼っている。輸入物価の高騰は、国内のインフレに火をつけることになる。長期金利は現在1%内外であるが、それが2から3%になった時点で国内の銀行は国債の投売りにでる。銀行は赤字で業務が立ち行かなくなっているはずだ。アベノミクスには、こういう怖さを含んでいる。それから、官邸主導の外交、安保にも不安材料がたっぷりと含まれている。官邸の外交を取り仕切っているのは、元外務省事務次官の竹内正太郎内閣参与と民間出の谷口智彦内閣官房審議官である。両人ともに国益よりもアメリカとの同盟関係を重視する思考の持ち主である。彼らの進めるTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加は非常に危険である。この協定の性格が密室性である点があげられる。公開を旨とすると、反対でつぶされる内容が多々散りばめられている疑いがある。これを押し進めているのが通商代表部である。カーク氏が引っ張っている。1990年代NAFTA(北米自由貿易協定)をまとめた連中が闊歩している。先頃交渉内容がリークされた。TPPの精神をうかがい知ることができた。結論から言えば、農耕民族は、カウボーイの肉食民族には太刀打ちできないということに尽きるようだ。それほどに恐ろしい条項を含む可能性がある。
一企業が相手政府を国際法廷に引っ張り出して裁判闘争をなしうる。地産地消の好みがどうのこうのという以前に方向づける。医薬品の高値維持のためには、後発の医薬品に制限を加えるなどは序の口であろう。
1%のものが99%を統御しうる現在のアメリカの姿を世界に拡散しようとする精神を感じ取れる。アメリカのように中産階級は崩壊してもかまわないのであろう。わが国の精神とは、絶対に相容れないものである。 安倍首相は今後この問題で相当に苦しめられることになるはずだ。
PS:TPP交渉参加八カ国は、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ベトナム、マレーシア、チリ、ペルー、ブルネイ。
チラシのポスティングは
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