アーカイブ2013.7.28(NO.192)
エジプト政変に見る
対米従属度 ...
By SeimeiWada2024.10.19
エジプトの政変劇は、軍部のクーデターで収拾を見た。
エジプトの軍隊はアメリカの補助のもと軍備はアメリカに負んぶしている。その軍が今回のクーデターを独自に敢行しえたはずはない。アメリカの了解があってはじめて出来たことである。では、今回の政変劇で一番に得をするのは誰かという発想になる。中東が恒常的に混乱状態が持続することに大変な利害関係があるのは、ネオコンの名で知られる軍産複合体であるとは想像に難くは無い。ネオコンを中心とした右派は米議会のなかである一定の勢力を築き、イスラエルにもその勢力は侮れないほどに巣くっている。この勢力は好戦的である。ロシアのプーチンが危惧するまでもなく、エジプトのシリア化が取りざたされている。
軍部が暫定政権として用意したものはリベラル派を取り込んでのものではあるが、それは、国民の一割の支持しか得られていない。その代表格でもあるエルバラダイ氏を副大統領にすえては見るものの、彼の不人気は半端ではない。八割をしめるイスラム系のムスリム同胞団とヌール党を排除した政権がまともな運営をできるはずもない。
モルシーがムバラクから権力を奪取するときにアメリカの支持という借りをつくった。それに応えるかのようにハマス、ヒズボラに睨みをきかせイスラエルとのいざこざを極力押さえることにした。IMFの言うことをひたすらに聴いてつとめて優等生ぶろうともした。アメリカ、イスラエルをおもんばかって、イスラエルとの国交はそのままにし、イランとの国交を回復する動きを封じてきた。
アメリカはこのところ中東ではことごとく失敗してきた。エジプトにおいてエジプトだけは成功するとは言えない。今後ムスリム同胞団が力を再度発揮したときアメリカとの関係がどうなるのか。反米まではいかずとも、米国からは一線を画した独自性の国になっている可能性は否定できない。
アメリカは今後、漸次モンロー主義の方向に、内向きに籠もるのだろうか。それは、経済がどう衰退していくのかの関数関係ととらえられなくもない。
米中央銀行the Fedのバーナンキ氏が打ち出したこれまでの量的緩和政策QEからの撤退宣言が波紋を投げかけた。
10年物の国債利回りが諸外国で暴騰した。わが国やドイツでの20ポイント、30ポイント台は少ないほうで、スペイン、ポルトガル、イタリアでは70ポイントの上昇を見た。新興国のブラジルやトルコでは、100ポイントを越えた。
第二四半期のGDPの伸びをジェイピー・モルガンやゴールドマン・サックスは1%と見ている。ちなみに the Fedでは2%、完全失業率を6.5%から7%に設定している。それにしても、諸外国に多大な影響力を及ぼし、しかも国内経済が順調とは言えない段階でのQE停止宣言ははっきりしない。 戦争経済の国家が戦争を忘れたカナリヤになったときが衰退国家の始まりの可能性がある。
わが国は、今後55年体制まっしぐらの基盤確立の元、ますます米国の世界戦略に組み込まれていくことになる。そして一緒に没落の課程をたどる危険性は濃厚である。それは、戦後、自らの頭脳で生きてこなかった当然の結末である。
今回の参議院選挙でわが国からまともな野党はなくなり、躍動感は喪失し、危険を避け、ブィジョンを無くした面白みの無い国になりそうだ。
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