アーカイブ2012.4.08(NO.161)
中国、権力移行
にともなうドラマ
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By SeimeiWada2024.11.14
中国は今、本格的な権力移行の行事にさしかかった。すんなりと移行が完了するまでには数多くの試練が待ち構えている。
重慶市の党書記である薄熙来(ハクケライ)の解任騒ぎに中国の権力構造の縮図をみるようだ。
中国で一番に偉いのは中国共産党である。なぜなら軍隊も土地も唯一所有している絶対君主であるからだ。一般の人は30年リースとか、50年リースとして土地を占有しているにすぎない。それに一般の人は、決して共産党を敵に回すことだけは避けようとする。こんな絶対君主の共産党の意思決定機関は9人からなる中央政治局常務委員と、25名からなる中央政治局委員である。今回解任騒ぎとなっている薄熙来氏は重慶市の書記であるとともに中央政治局委員でもある。しかも、常務委員の呼び名も高い人物の解任劇であった。ここに、中国の権力構造の複雑さが垣間見られる。
中国インターネット社会が黙ってはいなかった。6人のブロッガーが逮捕され、6つのウエブサイトが停止に追いやられた。クーデターの噂を撒き散らしたという罪によるものであった。三年前の軍事パレードの写真を載せ、あたかもクーデターが起こっているように煽り立てた。
北京警察の発表では、この関連での逮捕者は1,000人以上、消されたオンライン上のメッセージは208,000、警告に従わずに罰せられたインターネット会社は70に上った。
一政治局委員の薄熙来氏に当局は、かくまでに神経質にならざるを得なかったのか。 彼の政治方向が現政治権力と別の方向を向いていた疑いが濃い。
よく取りざたされていることは、簿氏は重慶市において、貧民階層に温情的であり、また、毛沢東時代の革命歌を歌うキャンペーンをおこなったりと、市民にとっては人気のある政治家であった。当局が一番に恐れたことは、大衆扇動型のデモクラシーであったと考えられる。文化大革命によって、大衆を全面に押し立てての権力奪取の生々しい記憶が蘇ったことも考えられる。
恩家宝首相は、薄熙来氏に対して、批判めいた言動をしている。文化大革命の再来をなそうというものがいる。と暗に薄熙来氏の大衆迎合型政治手法を批判している。
中国には二大派閥があり、現権力側は胡錦濤国家主席が所属している共産党青年団(共青団)と、次期国家主席に内定している習氏の太子党(上海派)である。簿記来氏は、太子党派(親分は前国家主席の江沢民氏)である。温家宝首相はどちらにも所属はしていないが、天安門事件の直接のきっかけとなった胡 耀邦(共青団の親分)に育まれた人物である。
中国の権力を語る上でのキーワードは、天安門事件、鄧小平、二大派閥である。
鄧小平は天安門事件を力でねじ伏せた。そのとき薄熙来氏の父親である簿一波が鄧小平の覚えが良かった。その後太子党である上海派が重用されていくことになる。 鄧小平は二大派閥の均衡に思いを寄せ、上海派の江沢民氏の次には共青団の胡錦濤氏を指名して死んでいった。中央政治局常務委員会の構成も上海派3名、共青団3名、その他3名としている。
カリスマ性も犠牲にして、民主主義をも犠牲にして、集団談合をよしとした鄧小平は、大衆を巻き込んでの大衆扇動型政治を文化大革命の破壊と二重写しになり、恐れた結果として、9人全員一致もしくは、多数決体制を遺言したのかもしれない。
結果的に次期国家主席候補の習氏は同じ派閥の薄熙来氏の失脚を認めたことになる。
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