アーカイブ2012.9.23(NO.172)
わが国の
無血革命
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By SeimeiWada 2024.11.04
中国、天安門事件から今年は23年目にあたる。民主化を求め10万人の抗議者が天安門に集った。政府はそれを武力で鎮圧した。今でも死者数ははっきりせず、400から800人は銃弾で倒れたと推計されている。
今年になって4月には中枢部での権力闘争があった。10月の新国家主席誕生を前に、大衆先導型政治的傾向を色濃くしてきた政治局委員薄熙来(ハクケライ)の失脚である。カリスマ性も犠牲にして、民主主義をも犠牲にして集団談合を良しとした鄧小平の方向性を踏襲することになる。現在の権力の正当性はなにからも担保されてはいないという負い目がある。それがためにただひたすら経済成長に邁進することになる。8%台の成長率を維持している限りにおいては民衆の不満をそらすことが出来た。しかし、腐敗、汚職という体質は世界でも先例をみない体たらくぶりであると言われてもいる。ちょっとやそっとの反日感情でガス抜きをしても権力の正当性の揺らぎを抑えるには、事は深刻の度を深めている。
今回わが国は尖閣諸島を買い上げる決定をなした。それに対して胡錦濤国家主席はAPECサミットにおいて、日本の行った行為に対してその重大さを覚悟しなければならないと、恐喝ともとれる言動を残している。竹島問題の場合は、韓国、日本ともアメリカの従属国家であるから、アメリカの鶴の一声で収拾に向かう。しかし事中国の場合はそうはいかない。次のわが国の新しい政権の誕生を待って初めて事態の打開に向け、ようやく動き出すのかもしれない。
4月に、唐突にこの問題がでてきた。石原東京都都知事が訪米中の発言である。選挙とも大いにからんでいることに注目する必要がありそうだ。
わが国の政界と官僚の暗闘第一ラウンドは鳩山、小沢によって仕掛けられたが、官僚側の完全なる勝利に終わっている。菅氏や野田氏にいたっては民主党政権が立ち上がった熱気のすべてを喪失させてしまった。この点ではわが国の官僚独裁体制は従来のままである。官僚が実務だけに専念する民主主義の本質に立ち返るにはまだまだ時間を要することになる。この官僚の権力の基盤はアメリカ従属である。この一点ではアメリカと利害が一致する。そのことは、政権や民意が中国よりになってはいけない。それを阻止するためにはいろいろな仕掛けが工夫されることになる。今回の尖閣問題は、タイミングからいってまちがいなく官僚側とアメリカのタッグが仕組んだものと疑ってかかってもよさそうだ。
これまでのわが国の体制を揺るがす要因となりうる新たな問題が生じてきた。橋本氏率いる維新の会という政治勢力が伸びてきたことだ。官僚の東京集中権力を奪いにかかってきている。今回のほうが民主党のときより強力だと感じているはずだ。地方の出先機関へ権限を移譲する程度では収まりがつかないと見ているはずだ。維新の会のTPP賛成への態度も不気味なはずだ。TPPはアメリカ企業がわが国で商売をしやすくなる条約である。そのことは官僚が握っている権限をアメリカに掠め取られることでもある。対米従属を存在基盤としている官僚側の泣き所を良く攻めようとしている。維新の会のブレインには官僚の思考の隅々まで熟知し歴史感覚の鋭いもの達が運営していると想像しうる。わが国の民主化がなされうるのか、それとも第二の革命は失敗して対米従属という落ち目の国と以後も心中をする選択をするのか。そんな無血革命がわが国でも行われようとしている。最後に、世論を作り出すマスコミを注意深くチェックしていないと、マスコミはときの権力にいとも容易に懐柔される性格をもっている。権力の甘味を知ってしまったマスコミはそれに縛られ易くなる。マスコミに対する批判精神も必要となってくる。
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