アーカイブ2013.8.11(NO.193)
スノーデン事件に見る
中国の立ち位置 ...
By SeimeiWada2024.10.18
アメリカ合衆国の機密情報収集活動の実態を暴露したスノーデン事件は、多大な意味を投げかけた。E.スノーデン氏は最初、香港の場所でガーデアン紙やワシントン・ポスト紙に機密の所在を暴露した。彼の所持するパソコンには数千点の機密情報が蓄えられている模様だ。その一部は中国当局により取り込まれたことは疑いの余地が無い。このようなまたとないビッグプレゼントを前にして諜報機関は色めきたったはずだ。
他国民を含めた一般市民の盗聴から、大使館の盗聴まで、なんでもありのオバマ政権の盗み見の手口が、白日の下に顕になった。それは、想像もつかない外交上の失点であり、アメリカという国の道徳性のなさ、信用失墜は計り知れない。だが中国はアメリカとの関係悪化を危惧するあまりにスノーデン氏を第三国に送り出した。このことは対アメリカとの関係で、中国はがっぷり四つにアメリカと渡り合う気力が出来ていないことをさらけ出してしまった。それを解明することが現在の中国が置かれている問題点を知ることでもある。
変わってロシアは、冷戦さながらにアメリカのスノーデン氏奪還要求を撥ね付けた。諜報機関のトップという経歴を持つプーチンならではの直感である。シリア問題、イラン核問題で劣勢に打ち負かされていたロシアは突如として息を吹き返す契機になりえた。この亡命騒ぎのもつ意味は過少評価しきれない重要な意味を持つ。さすがにプーチンである。ソーシャルネットワークにうつつをぬかしていたメドベージェフでは、如何ともしかねない優柔不断であったろう。たしかにこのプーチンは、政治活動を妨害したパンクロックのプッシー・ライオットを牢屋に閉じ込めたり、もう少し遡っては、チェチェン問題の取材に深くかかわった女性記者アンナ・ポリトコフスカヤの死にかかわったであろうことを、深く疑われてもいた。そういう不人気にもかかわらず、ここぞというときの度胸は並外れている。
スノーデン氏の第一の希望国エクアドルは、アメリカとの貿易上の最恵国待遇破棄通告に震え上がってしまった。反米国家ボリビアの大統領モラレスは、ロシアを離陸した後、スノーデン氏の同乗を疑われ墜落の憂き目にあった。
亡命地としてのロシアは、一年間に限っての亡命受け入れであったが、最終的にはロシアが永住の地になりそうだ。アメリカに帰れば136年(Bradley Manning被告に先頃下された刑期)の監獄入りが待っている人道上の問題もある。
中国の弱腰は内政重視にある。李克強首相に課せられたものは、成長率7.5pcの宿題である。現代史における史上まれな変形経済と言われながらも、この宿題は大きい。貧困度を測るジニ係数は0.4(0.6の疑いがある)という、いつ革命がおきてもおかしくない貧富の差がある国が中国である。
李克強氏には独自の成長率計算指標がある。電力使用量、貨物運送料、ローンといったものだ。その指標から成長率を見てみると今年の場合、実際より1.5ポイント低めであることが解った。リーマンショック翌年の乖離より悪化している。ここ10年来最悪である。
GDPの48%という投資に負んぶしている経済の建て直し、リフォームを手がけることは容易ではない。軍の既得権益や常任委員会のそれにメスを入れざるを得ない困難に直面せざるをえないからだ。
この状況でのスノーデンというビッグプレゼントを掠め取ることは、害にこそなれ益するものは少ないと判断した。そう読み取れる。
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